『深夜特急』を読み終えて、著者の沢木耕太郎さんの他の本を読んでみたくなりました。
今回は『旅の窓』を読んだ感想をまとめようと思います。
『旅の窓』は沢木耕太郎さんが旅の途中で撮った写真と、写真に込められた思いがまとめられた一冊です。
旅を続けていると、ぼんやり眼をやった風景のさらに向こうに、不意に私たちの内部の風景が見えてくることがある。そのとき、私たちは「旅の窓」に出会うことになるのだ。その風景の向こうに自分の心の奥をのぞかせてくれる「旅の窓」に。
旅の窓 3ページより引用
以前読んだ『旅する力』にも「旅の窓は心を映す」という表現をされていたことを思い出した。
旅をしているとバスや飛行機、電車を利用して移動することになり、その窓から外の風景を見ることが多くなる。
ふとしたとき、その光景が思い出されることがある。
思い出に残る、印象に残っているということは、見た人にとってなんか琴線に触れたのだ。
つまり、その人の本心に思っている大切なことを知るきっかけになる。
写真を撮ろうと思ったのも、何かしら金銭に触れたからではないだろうか。
『旅の窓』では著者がどんな思いで写真を撮ったのか、どんなふうに感じたのかが写真と共にまとめられていて、著者の人柄がわかる一冊だったと思う。
この記事では『旅の窓』を読んで気にいった写真とメッセージをいくつか紹介します。
あなたが忘れられない光景は何ですか?
記念写真
ドイツのケルン大聖堂の近くで、父親の記念写真を撮っている小さな女の子を見かけたときのエピソードが印象に残った。
時が経ったとき、父親は自分ひとりしか映っていないその写真を見るたびに思い出すことだろう。自分の眼の前に立っていたはずの幼くかわいかった娘の姿を。それが、結局、娘と二人の記念写真であったことを。
旅の窓 32ページより引用
父親が小さな娘の写真を撮るのは普通の出来事だが、小さな娘が父親の写真を撮るのは珍しいことだと思う。
父親しか映っていない写真は、他の人たちから見たら旅行先での記念写真にしか見えないだろう。
でも、父親にとってその記念写真は、娘とのかけがえのない思い出として思い出される。
旅の思い出を皆と共有することも素敵だけど、自分にしかわからない思い出を胸に秘めておくのも素敵だなと感じた。
結婚すらしてないけど、想像したら泣きそうになった
名もない街
アメリカのニュージャージー州を車で移動中に立ち寄った町で感じたことが印象に残った。
世界に「名もない町」などというものはないということに。そこに人々の生活があり、町が存在している以上、名前がないはずがない。
もし、ここで昼食をとらなかったら、ただの「名もない町」で終わっていたかもしれないこの町が、ほんの数十分ぶらついただけで、私にとって名前を必要とする町に変化している。それは、ふと、立ち止まって考え込んでしまうほど不思議なことだった。
旅の窓 90ページより引用
名もない町もなければ、名のない人もいない。
知ろうとしなかった、知るきっかけがなかっただけで、名前は必ず存在する。
言葉は他者とコミュニケーションをとるために存在し、仲良くなるためだったり、愛情を表現するためだったり、危機的状況を仲間に伝えるためだったりするために使われる。
言葉や名前が定義されているいうことは、誰かにとって意味を与える必要があったからなんだと思う。
「名もない町」は存在せず、「私が名前を知らない町」がたくさんあるだけなんだろうなと読んでいて思った。
当たり前のことだけど、不思議な気持ちになったよ
炎に祈る
ギリシャのケルキラ島にある小さな教会でのエピソードが印象に残った。
少女が祭壇のロウソクに火をつける姿が美しかったのだ。
その真剣な眼差しを見ているうちに、火をつけるという行為そのものがひとつの祈りになっていることに気がついた。
たとえ、それがどのような対象であれ、また、そこがどのような場所であれ、祈るという行為の持っている美しさには世界共通のものがあるように思える。しかし、いま、日本の子供たちは、この少女のような「祈り」の場を、どこに持っているのだろうか?
旅の窓 106ページより引用
現代の日本では「祈る」ことは少なくってきたように思う。
初詣でお祈りするだけという人が大半な気がする。
日本が宗教を信じていた時代は、貧しい人が大半で、宗教が心のよりどころになって生きる糧になっていたのではないかと思う。
現代の資本主義経済では「お金が全て」という価値観を信じている人がほとんどだろう。
日本が世界のトップだったバブル期や行動経済成長期であれば、その価値観は正しかったのかもしれない。
多くの日本人がお金を稼げていた時代はそれでもよかったと思う。
けど、今も同じような価値観のままだと、お金が稼げる人しか幸せになれない。
これからの時代を生きやすくするために、「お金」以外の心の拠り所に気づく必要がある気がする。
あなたは何を信じて生きていますか?
【まとめ】旅の写真に一言添えて
今回は『旅の窓』を読んだ感想をまとめました。
見開きでメッセージと写真がまとめられていて、気軽に読むことが出来ました。
旅に出て写真を撮る機会があったら、写真と共にメッセージを残してみるのも思い出になっていいなと思いました。
Twitterだと文字数制限が140文字なので、ちょっとしたメッセージを残すのにぴったりな気がします。
気が向いたら私もやってみようかなと思いました。
最後まで読んでくれてありがとう
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旅の窓
著者 沢木耕太郎さんのオススメの書籍紹介
『深夜特急』の著者、沢木耕太郎さんの本を色々と読んでみました。
これまで読んだ本の一覧を作成したので、興味があれば読んでみてください。